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こどものスポーツ環境を考える。

こどものスポーツ環境というと

練習方法、練習時間、練習場所、クラブの方向性、様々あると思う。

それらを一言でまとめると

こどもの環境とはそれを決め、実行しているとりまく大人だ。

 

1指導者(クラブチームの監督、コーチ、部活担当の先生)

2保護者

3医療従事者、トレーナー、メディカルトレーナー、治療家

 

こどもに係わる大人たちこそ、こどもの環境だ。

理想はみんなが同じ方向を目指すこと。

同じ方向を目指しながらそれぞれの役割を果たしていけることが理想だ。

 

しかし、3の立場の人間からすると、なかなかはがゆい現実がある。

今回の記事は少し視野を広くしてスポーツに励むこどもの環境について考えて見たい。

 

自分で意思決定できる時間

昨今の子どもは習い事が忙しい。

運動系はスイミング、サッカー、野球、空手、バスケ、ダンス、バレエなど、

とにかく、スポーツの習い事は必ず1つはやっている。これ自体は素晴らしいです。

 

そして、お勉強系は英会話に、習字、塾に、最近はプログラミングというのもありますね。

 

いまの習い事事情は文武合わせて3、4つは当たり前という状況です。

 

それぞれの習い事は、

シビアで厳しいところ、

楽しさ重視のユルいところ、

いろいろあるようです。

 

それぞれの先生方は、自分の分野で一所懸命指導をしてくれる。

時には宿題や課題もある。

 

でも、他の習い事も忙しいよね、だなんて前提にしていない。

(手前味噌だが、ぼくのかけっこ教室はそこは考慮しているので、かけっこ教室として課題はほとんど与えていない。そもそも大会なども、イベント的なこと以外は設定していない。)

 

そして、学校のカリキュラムもいまは宿題や課題が多く、てんてこまいしているご家庭も多いだろう。

 

 

ここでこれを読んでる大人に質問してみたい。

 

あなた自身が、お子さんのように複数の習い事をしているとして、すべて一緒懸命できるだろうか?

毎日違うジャンルで違う脳みそを使い、違う課題が出る状況をリアルに想像してみてほしい。

 

それをすべてこなすことができるだろうか?難しいのではないだろうか?

 

学校でてんてこまいな上に複数の習い事。

もしかすると、

真面目な子は、もうすでにオーバーヒートしているかもしれない。

もしくは指示がないと動けない、動かない、そんな思考停止パターンに入っている子もいるかもしれない。

そんな子は習い事によって手持ち無沙汰を解消できているとも言えるので本人は辛さを感じていないかもしれない。

 

でもそれはちょっとどうなんだろう・・・

 

うまく手を抜いてバランスを保っている子もいるでしょう。

家にいるときはゴロゴロ、だらだら、宿題もいっこうにやろうとしない。

やる気スイッチが入らない。

 

我が子が呑気にしている時間、ボケ〜っとしている時間などを親は嫌がるものだ。

ゲームばかりされるのも嫌だし、だったら習い事させようと考えるのも親の心理。

 

ぼくも小五の娘を持つ親なのでよくわかります。

ちなみに、我が家は、メインのチアダンス、バレエ、

幼稚園から続けている英語、ぼくの主宰しているかけっこ教室の4つ!

こんな記事書いてるくせに多いですよね汗・・・

ちなみに本気のものは週一のチアダンスとバレエで、


本人が全くやる気のない笑、月2回の英語と、

毎週のかけっこ教室(他のイベントとかぶるとかけっこは参加してくれない泣)

という感じ。

英語だけは親の親心として、他3つは本人もやりたいことだ。

 

そういった状況において、ぼくが懸念するのは、

先に書いた、

指示がないと動けない、自発的な行動が乏しい人間になってやしないか?

ということだ。

 

よかれとおもってやらせている代償に

自分に決定権があり主体的に活動する時間を

子どもから奪っているのではないかと感じている。

 

 

主体性を持てるように育てる、見守る

ということは、

こどもの成長期には一番大切なことだとぼくは強く思っている。

 

 

東京学芸大学名誉教授・杉原隆氏は

体育指導を取り入れている幼稚園・保育園よりも、

自由に遊ばせている園の子どもの方が、運動能力が高い

という調査結果を報告しています。

運動能力とはある特定のスキルではなく、

運動能力全体の底上げ、つまり、運動神経だけでなく、

コミュニケーション能力、やる気、好奇心、自発性、判断力、忍耐力など

総合的な人間として生きるための能力といってもいいのではないか。

それが自然と身に付けることができるのは、主体性を持った活動だからこそではないだろうか。

 

勝利至上主義

ジュニアスポーツ、広くはキッズまで、の本来のスポーツのあり方は

発育・発達に適した運動強度で多様な経験を積む

ということ。

これが、競技性があるスポーツについては伴ってこないケースが出てくる。

とくに走ることばかりのスポーツで足ばかりに負担を掛けている状況はいかんともしがたい。

また、ピラミッド型の勝ち上がりシステムによって否応無く、勝利至上主義になっていくと

オーバーユース、怪我、挫折などのリスクがどうしても高くなってしまう。

 

成長期を終えた中学生、高校生なら骨格も大人同様に完成形になっており、

メンタルも鍛えやすい時期になるので、問題ないことだが(ないこともないけど)、

 

声を大にして言いたいのは、

小学生の骨や関節、靭帯、腱といった組織はとても脆いということだ。

こどもの骨格は簡単に壊れ、歪むということをほんとうに理解し、

踏まえて活動している指導者が現場にどのくらいいるのだろうか。

 

発育・発達に適した運動強度か?

偏ったスポーツで多様な運動経験を積ませているか?

まず何より、ケガの予防につとめているか?

楽しく、という本来のスポーツの土台となる経験をさせてあげられているのか?

勝ち負けが目的になっていないか?

 

こどものスポーツにおいてまず考えるべきは、こういった勝った負けたとは違う価値観をこどもと共有すること。

 

一部のエリート育成の考え方と、子どもの発育発達を軸にした取り組みは

なかなか共存できないところではがゆい。

 

親子がどこを目指しているのか、怪我のリスクも含めて、覚悟して取り組むということも選択枝にあるが、

それはほんの一握りのエリート思考の場合で、多くのご家庭では、怪我してまで、、と思っているのではないだろうか。

 

スポーツにケガはつきもの??

スポーツにおいて不可抗力の捻挫、打撲などのケガは避けられない。

しかし、あとあと尾を引くスポーツ障害は避けないといけない。

それを現場が理解、把握しているのだろうか?

 

もっといえば、捻挫打撲だってしやすい子としにくい子がいる。

それは生まれつきの運動能力の問題で片付けてはいけない問題。

 

怪我をしやすい子は

集中力の問題、力み、バランス感覚、判断力、反射神経、メンタルの状態などいろいろな課題が隠れている。

 

集中力、判断力といったメンタルの問題は、主体性が関係してくる。

鬼コーチや親の目を気にしている状態では試合には集中できない。

 

力みのあるプレイは体力の消耗が早く、

接触プレイがあれば、自分も相手も怪我のリスクが高い。

 

バランス感覚には体幹が大切。

常に自分の軸、体性感覚を保つことができれば、崩れてもすぐに立て直せる。

バランスに関係してくる三半規管、前庭器官が機能していなければで、捻挫、打撲はまちがいなく増える。

 

ほんとうに良いプレイは、リラックスした心身の中でしか生まれない。

リラックスした状態は緊張と弛緩が共存しており、

気持ちも体もメリハリをつけ、効率よく動ける。

 

怪我をしにくいカラダ作りにはフィジカルトレーニングの知識はもちろん、

コーチングの技術も必要。

子供がのびのびとプレイしている環境は怪我は少ないはずです。

勝利至上の環境、ヘマしたら怒られるという緊張の中ではカラダを強張る。

積極的プレイはできず、メンタルがストレス下ですり減っていく。

 

某有名高校の競合陸上部に通う学生から
肉離れの軽いやつを筋肉痛というんだ。サボるな。
と監督にいわれた話を聞いた。

そもそも、現場に知識がないわけだ。
防げるケガと防げないケガを現場の指導者や親たちはわからない、

もしくは、わかっているのに変えられない、変えようとしない。

それは、

どうして良いかわからない、というのが実情だろう。

 

意思疎通をして連携していく

 

ケガで傷つくのは体だけではない。

心も傷つく。

そんなこどもを減らしていくには

保護者、指導者、場合によっては我々セラピストの連携が必要だ。

どうしても故障という問題が起きてからコトが動くという流れになり、

我々セラピストと本人、親で意思疎通を図るところまではいける。

でも、本人や、保護者から現場指導者にそれはなかなか伝えられないから、

流れがとだえてしまう。

 

われわれ体のプロがもっと現場、指導者の方へ積極的に出ていかないといけないと思っている。

故障者を出すもっと、ずっと前に、

そのタネを巻かなければいけない。

 

いま自分にできることは、ひとりでも多くの指導者や保護者に

立ち止まって考えるきっかけになるように情報発信をして、

ご縁ができたクライアントには熱意を持って伝えていくこと。

まずは地道な草の根活動しかない。

 

 

指導者に向けた講習会などの依頼なら喜んでやらせていただきたい。

連絡をくだされば幸いです。

 

松田タカシ

 

 

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