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越谷市小学生陸上競技大会を終えて①
この陸上大会の臨時コーチの話をいただいて感じたことを率直に書きます。
学校の先生は素人です
体育主任の先生方と最初の打ち合わせをした時に、
250人もの生徒に僕の目が行き届くわけがないと思い、
まずは教員の皆様に身体動作について少しでも理解してもらう方が効率が良いと考えました。
そして後日、2時間のワークショップを放課後の校内で開催して体験してもらいました。
その時の感想。
あ、ほんとに何も知らないんだ・・・
というのが正直な感想。
わかっているとは思っていないから開催したわけだけど、
僕からすると全く時が止まっている感じ・・・。
でもそりゃそうなんです。
そもそも小学校の先生方はオールマイティを要求される過酷なお立場で、
ただでさえ勉強、行事、生徒指導、、たくさんのことを抱えています。
専門的な身体動作のこと、機能解剖学のこと、最新のスポーツ化学の情報なんて、知らないのが当たり前です。
そんなこと知らないでもいいんです。本当は。
小学生は楽しく体を動かせれば十分で本来は強度を上げる必要なんてない時期です。
でも、越谷には年に一回の陸上大会があって、伝統的に力を入れている学校があります。
生徒よりも先生の方が力が入ってたりするわけです。
でも実態は、運動の素人である教員が陸上競技の専門指導をするんです。
そして短期間で突然ものすごい量の練習が始まります。
故障者続発はあたり前です。
今回の訴えとしては
スポーツ膝(多数)、シンスプリント(多数)、アキレス腱炎、有痛性外脛骨による炎症、過剰回内による足の痛み(多数)、腰痛などでした。
全てオーバーユース(酷使)での発症です。
オーバーユースにできること
結論から言うと、休めばいいんです。
やりすぎたら休む。小学生はあっという間に治ります。
治療者としては一時的な対処と緩和、回復の過程でのトレーニングを提案します。
パーソナルなら細やかにそれをする時間はありますが、今回はできなかった。
役に立ったツール“GRIDフォームローラー”
そこで小学校にGRIDフォームローラーを持ち込んで、故障者には使い方を教え、
休み時間にやるように伝えました。
桐生くんも使っているローラーです。
GRIDフォームローラーは僕の行き届かない時間を補うには申し分ない仕事をしてくれたと思います。
効果のほどは子どもたちも「かっるっ!!(軽くなった)」
とその場を飛び跳ねていました。
GRIDフォームローラーとは
ただ、治る見込みが遅れている子も何人か居て、
聞いてみると週末は休んでくれていると思ったら、バレーだ、ダンスだと今時の子どもは週末も休めない。。
結果としては当日まで痛みを残して迎える子たちが一定数いたのです。
選抜メンバーとしての責任感、本人のモチベーション、
少しでも良い選手を出して、結果を出したい先生の思い、
そもそも故障に対しての意識がとても薄い。
痛みの度合いが唯一の指標なはずなのに、本人が我慢して練習している。
表情を見ても、休ませるべきか、できそうなのかこちらではよくわからない。
痛みに強いのか、そうでもないのか、
メンタルが弱いから大したことないけど訴えが誇張する子、
どうしても練習がしたいから、めちゃくちゃ我慢している子、
それを判断するほど一人に時間はかけられないし、僕の立場では申し上げにくいところもある。
そんな葛藤がずっと続いていました。
問題はオーバーユース(酷使)だけではない
オーバーユースはない方が良いですが、昨今は習い事が多く、そうも言ってられない。
そんな中、故障する子どもとしない子どもの違いはなんでしょう?
もともと運動能力がある、センスがある子ども、
飲み込みが早い器用な子かどうかは大きいと思います。
でもその底上げをしてできるだけ体を本当の意味で動かせる子どもを増やすのがこの時期なのです。
つまり、オーバーユースの裏には
正しく身体を動かすことができない子どもが多い
という問題が隠れているのです。
だから負担が増すと対処できず壊れるのです。
子どもたちの大腿四頭筋はカッチカチです。
ふくらはぎの深層筋もゴリゴリです。
これは正しく身体を使っていないことで起こる悲鳴です。
指導者がいないこともおおきな原因でしょう。
学校に何かを求める前にできること
良いパフォーマンスに根拠があるように、ケガを誘発する根拠もあります。
それを知っているか、知らないかは大きな違いがあります。
体の構造、機能の基本の理解を深めてもらえれば、応用はいかようにもできます。
でもその大事な身体の使い方の基本となる指針は学校にはありません。
私が夏休み提案し、子どもたちに実践してもらったドリル。
最初からできる子はほとんどいませんでした。
でも子どもたちはもちろん、教師の皆さんもいつもと違うところに効いた様子も見られ、
慣れてくると上手にリズムよくできる子も増えてきて、手応えは感じました。
例えば
お尻や太ももの裏側を使えているか
踵かかとを正しく機能させているか
リズムよく動いているか
緊張と弛緩のバランス
こうしたことを地道な基礎練習で繰り返す必要があります。
そう言ったことを教えてくれるスポーツ教室を見つけたり、
親御さん自身も勉強することです。
日常に大きな原因がある
日々の生活で気をつけることはたくさんあります。
猫背のまま、スポーツが上達することはありません。
ご飯を食べる姿勢、
くつろいでる姿勢、
ずっと猫背ではないですか?
ふかふかのソファーでだらけてばかりいませんか?
そもそも運動不足になっていませんか?(学校の体育で十分と勘違いしないで欲しい)
猫背は骨盤後傾を作ります。
骨盤は後傾癖がつくと筋、骨格のバランスはとても悪くなります。
運動するには骨盤は前傾です。
それを作るのは肩甲骨、つまり姿勢です。
我が子の普段の姿勢。
良い姿勢は良い心、良い運動と連鎖します。
もう一度そこにたちかえって欲しいと思います。
最後にまとめ
子どもの故障のケアを通して、
オーバーユースさせることの問題
義務教育化では身体の専門家がいない問題
適応できない子どもの身体の問題
が見えてきた。
そして各家庭でできることはまずは良い姿勢です。
良い姿勢は良い心、良い運動を作っていきます。
僕としては
学校の中に根付くような、基礎運動のマニュアル、型があれば良いなと思っています。
型があれば先生の負担は無くなります。これ以上増やしちゃいけません!笑。
そのあたりは学校側にもお話しさせていただきました。
今後、ぼくに何ができるか・・・ムムム。