ランニングワークショップの講師の淺川先生からメッセージをいただきました!
※小学生の部は受付終了しました。
中学生以上の部大人も参加できます。ランニング障害、ランニングフォーム、伸び悩んでいる方には大いなるヒントがあるかもしれません。
お申し込みは公式ラインからお願いします。
ランニングワークショップ開催します
https://www.koshigayabase.com/blog/17747/
浅川先生よりメッセージ
参加の皆さんご覧ください!⏬
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
東大附属に赴任して陸上部の顧問を依頼され、それこそ20年ぶりに競技の世界に触れることになりました。
ところがずっと和太鼓や民俗舞踊に取り組んでいた身体には、かつて慣れ親しんだはずの走法やドリルが極めて窮屈で不合理なものに感じられたのです。
一方、研究校で部活への制限も多く、生徒もろくに練習に集まれない環境ということで、たどり着いたのが「週3日の練習で全国を目指す」「そのための動きつくりに伝統的身体技法を活かす」というものでした。
取り組み始めた当初は、他校の指導者から「何やってんの⁈」と訝しがられることも多かったのですが、間も無く末續選手の「ナンバを意識して」世界選手権銅メダルや、米国留学から戻った室伏選手の「這いはいトレーニング」導入などが追い風となり「先生の言ってたこと間違ってなかったんだね!」なんて生徒の信用も得られるようになりました。
シンクロニシティとでもいうのか、他競技も含めて多様なアスリート・指導者が似た発想で様々な試行錯誤を開始し、その中で小田伸午先生はじめ研究仲間にも恵まれることとなりました。
陸上競技では、自らの筋力でからだを運びパフォーマンスを発揮しているように見えますが、その際見えない力として働いているのが主として重力と地面反力です。
脊椎動物5億年の歴史、海から上陸してからは3億7千万年の歴史の中で、重力にどのように抗しそれを地面反力という形で利用してきたか、それが直立二足歩行の700万年でいかに洗練されてきたのか?そこを紐解くと、私たちの運動がいかに「筋力に頼りすぎていて、無駄の多い」ものかが見えてきます。
安土桃山時代から江戸時代にかけて成立したとみられている、武家の稽古事や古武術には「コツ」という言葉に象徴されるように、骨のはたらきに着目した動きが豊かに息づいています。
「外力」としては骨の支持をはずす「抜き」で重力を活かし、床や地面から返ってくる地面反力を骨で受け止めて活かし、ということが行われています。
「内力」としては筋力に頼るのではなく、適切な腹圧をかけることで発揮される力のつながりである「気力」を大切にしていたことがうかがわれます。そこでは息を詰めない、すなわち力感を排して頑張りすぎないことが求められます。
そして武家文化のように体系化は行われませんでしたが、農林漁業はじめ身体で物に働きかける様々な営みに従事していた「百姓」の身体文化も、地域や職業によって独自の発展を遂げながら、長く力を発揮し続けられるコツとして、それぞれ土着のものとして花開いたと考えられ、現代の民俗芸能にも細々とではありますが継承されています。
今回のワークショップでは、スプリント動作の中に秘められた直立二足歩行の歴史を紐解き、世界のトップアスリート同様の「頑張らない」「息を詰めない」「抜きで弾む」「からだを捻らない」走りの実現を目指すヒントをたっぷりお伝えします。
小学生コースでは、ペットボトルやU字溝ブロックなど、誰でも手に入る道具を使っての感覚つくりを中心に、心地よく速いスプリント動作を身につける練習と、からだを整える身体技法を行います。
大人コースでは、それに加えて理論的な説明を行いますので、今後のご自身のトレーニング全般を組み立てたり指導に携わったりする際の、考えるベースにしていただけるのではないかと思います。
淺川俊彦